私たちの診療科では、視覚以外の頭頸部の感覚器、すべてに関わる治療と研究を行っています。具体的には、耳、鼻、喉の疾患や嚥下障害、頭頸部腫瘍といった領域が対象となります。人間は感覚器によって受け取った情報を中枢神経系へと伝達します。ですから、私たちの分野は神経や精神といった分野とも関わりがあり、連携した治療や研究の機会が多いのも特徴です。頭痛やめまいが続いたり、喉が痛いという症状はQOL(生活の質)を低下させます。そしてそれらが、実は重大な疾患のサインだったりする。私たちはそのサインから疾患を見抜き、バーチャル技術を用いた手術支援システムやロボットなど、高度な設備を駆使して手術を行う体制を整えています。また、ストレス社会の中で増えているメニエール病や、生活習慣病の患者に多い睡眠時無呼吸症候群、さらには嚥下障害や老人性難聴など高齢者に多い疾患も扱い、時代の診療ニーズに応えることを目指しています。対象とする分野がバラエティーに富んでいる耳鼻咽喉科には、最近大学院生や女性の先生方も増えています。この分野に興味を持って、私たちとともにキャリアを築く人が増えることを楽しみにしています。
2003年、名古屋大学卒。中部労災病院初期研修医を経て、同院耳鼻咽喉科スタッフとなったのち、名大病院耳鼻咽喉科入局。現在は主に耳科手術を手掛ける。「研究論文に着目した日本の大学ベンチマーキング2011」(文部科学省科学技術政策研究所による)において、同医局の英語論文被引用数が日本で1位を記録したこともあり、医局長として臨床研究を進めやすい環境づくりにも注力している。(2014年3月まで医局長)
頭頸部外科医として手術を行う平松真理子先生には、2児の母という一面も。平日はフルタイムで勤務し、土日は休暇をとるというライフスタイルは、医局の支えがあってこそ確立できたものなのだとか。手術・家庭・後輩指導——すべてをこなす先生の、ポリシーとは。(2020年3月まで医局長)
2001年、川崎医科大学卒。研修医終了後は市中病院勤務を経て大学へ。出産後も頭頚部外科医としての勤務をパワフルに続けている。主に外来・手術・臨床研究に従事している。
なぜ、こんなに熱心なのか——大学に来たのは、臨床にも研究にも真剣に向き合う先輩たちへの好奇心からだった。現在は大学院生として医局に所属しており、先輩たちとの交流が楽しいと言う須賀研治先生。医局のリアルについて語る。
2006年、金沢医科大学卒。耳・鼻等の感覚器から頭頸部領域まで幅広い疾患を対象とし、先輩たちに刺激を受けながら毎日を過ごす。(2015年4月異動)
自分自身は他大学出身。でも医局の宴会部長としてチームを盛り上げたいと語る都築秀典先生。働きやすい医局をつくるために、若手も積極的に行動したほうがいいと強調する。後輩からの信頼も厚い先生が、治療の上で大切にしていることとは——。
2007年、東邦大学卒。名大の関連病院で初期研修を終え、耳鼻咽喉科の道へ。大学に帰局した際に頭頸部癌治療に出会う。医局では、“宴会部長”として持ち前の明るさを発揮。(2018年3月異動)