知ってるようで意外と知らない!?
  • 医局Voice
  • 消化器外科一
  • 消化器外科二
  • 眼科
  • 精神科
  • 皮膚科
  • 泌尿器科
  • 耳鼻咽喉科
  • 麻酔科
  • 神経内科
  • 形成外科
  • 救急科
  • 化学療法部
  • 腎臓内科
  • 老年内科
  • 小児科
  • 総合診療科
  • 産科婦人科
  • 血液内科
  • 呼吸器内科
  • 中央感染制御部
  • 循環器内科
  • 消化器内科
  • 整形外科
  • 糖尿病・内分泌内科
  • 脳神経外科
  • 小児外科
  • 放射線科
  • 呼吸器外科
  • 病理部
  • 心臓外科

代表インタビュー 小児外科

スキルの向上、新技術の開発が、
ひとりでも多くの子どもを救うカギとなる。教授内田 広夫 先生

内田広夫 先生

ある子どもとの出会いが、
小児外科への道しるべに。

技術者を志していた高校時代、技術者の中でも高度な技術が必要となり、救命ができる医師になろうと決意しました。その中でも小児外科を選んだのは、大学5年生の小児外科研修で、生後1~2カ月の胆道閉鎖症を患う子どもと出会ったのがきっかけです。胆道閉鎖症は1万人に1人が発症すると言われ、当時の日本には移植技術がなく、手術をしても5割しか治らないという状況でした。ですから同時期にアメリカで移植技術が開発されたことは画期的なことだったのを覚えています。そして、その移植技術を日本で活用し、胆道閉鎖症の子どもを救いたいと考えたのが、現在まで小児外科を続けている大きな理由のひとつです。手術対象者は子どもなので、体が小さく手技は細かいので難易度は高いですが、その分やりがいのある分野。今後何十年と生きていき、未来の担い手となる子どもたちを救命がするのが小児外科の役割だと思っています。

子どもの総合外科として、私たちができること。

小児外科の領域は幅広く、上半身は心臓以外と、腹部は肝臓、腎臓、小腸、大腸、膀胱、卵巣などを臨床します。大人で言うところの、呼吸器外科、内分泌外科、消化器外科、泌尿器科、婦人科にあたり、子どもの総合外科というのが、私たちの立場になりますね。小児外科は全体の患者さんの数が少ないため、これまで臓器別に分けられてきませんでした。また、子どもは全国どこにでも生まれ、疾患も同様に全国で起こります。しかし、小児外科医は全国各地にいるわけでもないので、そこが今後の課題だと思っています。だからといって、若い医師を派遣しても、すぐに執刀できるわけでもありません。そこで、遠隔で彼らを支援するシステムができればよいと考えています。小児外科の患者さんは少なく、医師にとって手術を経験する機会は少なく、やりがいをあまり感じないと思われがち。しかし実際には、子どもの未来を決めるような手術をするわけですから、その責任、やりがいは大きいものです。また、まだ確立されていない手術法などがたくさんあるため、新しいよりよい手術法の開発など、未来の医療を変えるしくみづくりにも大きく貢献できます。

内田広夫 先生

低侵襲が私の生涯の研究テーマ

小児外科でもメジャーな疾患である胆道閉鎖症や胆道拡張症、横隔膜ヘルニア、食道閉鎖症などの症例が多い名大病院。自分たちが行ってきたこと、これから行おうとしている研究や手術の評価がフィードバックされるなど、存分に学べて成長できる日本でも有数な環境だと思います。研究をする設備も整っていて、私は小児外科の低侵襲手術と呼ばれる、体に負担の少ない内視鏡手術の新たな手術法の開発を進めています。今までは、痛みが小さくて早く退院できることが重要視されてきましたが、子どもにとっては、機能を温存すること、機能を獲得できるようにすることが最も重要で、それに加えて手術で残る傷をより小さなものにする必要があります。すなわち傷は小さく、なおかつその子どもの今後の人生を充実したものにしていかなければいけません。体内に埋め込む金属は、年が経てば溶ける金属・生分解性マグネシウム合金を使うこと、これもひとつの低侵襲。これからもこの領域をさらにつきつめて患者さんである子どもたちの支えとなる医師をめざしていきたい。

プロフィール

1989年、東京大学卒。術後大きく成長発達する子どもたちの心と身体の傷を最小限にするために、低侵襲手術を実践している。単孔式腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術、臍部Benz切開などを考案して定型化。小児内視鏡手術シミュレータ、生分解性マグネシウム合金などによる医療機器、光線力学療法などの研究開発を行っている。

診療科HPへお問い合わせ